性格的な傾向からみていくと、仕事熱心、凝り性、正義感・義務感が強い、几帳面、完璧主義、全か無かの極端な選択的思考、自分の欠点や過去の失敗を繰り返し考える、自分の言動を細かく分析する、自己嫌悪感が強い、自尊心が少ない、人からどう思われているかいつも気になる、常に最悪の状況を考える、自分の弱みを見せたがらない、人に助けを求めるのが苦手、責任感が強く、頼まれると嫌と言えない、などのタイプの人がうつ病になりやすいとよくいわれています。これらは、執着気質、あるいは、メランコリー親和型性格と表現されます。
このような性格の人は、実際に色々な面で能力があり、周囲から信頼され、期待を寄せられていることも多いため、次々と仕事を頼まれ、何とかやり遂げようと努力していきます。たとえ、自分の能力の限界を超えていると途中で感じたとしても、自分の力で何とか解決していこうと無理に頑張り、長く苦しみ続けているうちに、いつしか心身共に疲弊し、脳の機能低下を起こして、うつ病を発症してしまうことがあるのです。
うつ病になってしまうと、「これは自分の性格の弱さだ」、「気の持ちようで何とかなる」、「単なる怠け癖で自分が楽をしたいだけだ」、「自分が情けない」、「他の人に比べたら自分の辛さなんて大したことない」、「自分だけ具合が悪いなんて言えない」、「休んで周りに迷惑をかける訳にはいかない」などと考え、ますます自分の努力や能力のいたらなさを責めてしまうようになりますが、これも、うつ病の方の歪んでしまったものの考え方、捉え方の特徴的な傾向なのです。
そして、次第に、「自分は周囲からは必要とされていない」、「誰にも愛されていない」などと強い孤独を感じるようになり、「自分なんていなくなった方が皆も助かる」、ついには、「居場所なんてどこにもない」、「生きている価値はない」、「消えてしまいたい」、「死にたい」などと考え、実際に自殺に至ってしまうこともよくあることなのです。
現代社会はストレスに満ち溢れており、職場や学校、地域、家庭など、あらゆる生活の場面において、ストレスとなる要因は著しく増大しております。上司によるパワーハラスメントやセクシャルハラスメント、長期間続く時間外労働や休日労働などによる心身の疲労、能力を超えて多大な責任を負わされる職務、罵倒され、理不尽な指導を受ける職場環境、あるいは、学校や近所での悪口、嘲笑、無視などのいじめ、また、姑との同居や独りでの育児・家事といった他人からみれば些細なことと思われることでさえも、本人の主観的な辛さが大きいのであれば、十分に強いストレスとなり、うつ病の大きなきっかけになってしまいます。
さらに、大切な人との死別や離婚、失業、失恋、身体疾病、天災、犯罪、事故などはもちろんですが、結婚や進学、就職、昇進、転居などの良い出来事であっても、大きな環境の変化は、心身の大きな負担になってしまうこともよくあります。